人生で最も大きな挑戦は、各自の内なる自己に忠実になることです。
生きていく上で最善のものは内なる世界からやってきます。けれども、この特別な場所は、いつでも簡単に探しだせるわけではありません。外界から大量の刺激を受けつつ、注意を内側に集中させるのは困難なときもあります。
最近、テレビで「Taken」というスティーブン・スピルバーグのシリーズ作品を放送していましたが、そのなかで、若い才気あふれるナレーターがこう言っていました。「今あるあなたから方向変換して、こうなれただろうと自分自身で感じているあなたになる道を探そうとするようなものです」
私達はみんな、「できるものなら挑戦してみたい」と思う気持ちを持っています。
より良い仕事に就きたい、新しい家が欲しい、人間関係をよくしたい、など様々ですが、そのような願望は、ただ魔法のようにかなうわけではありません。確かに、苦境にあっても、信頼や幸運まで手に入れてしまう人もいますが、そういう変容を遂げるには、たいてい長い時間と多くの努力を必要とするものです。自分自身のリアリティを創造する能力は、その人が自分の全潜在能力のうち、どのくらい発揮できるかにかかっています。想像がほんとうに現実になるまでは、ものごとはまるで元のままのように見え、変化が感じられないことが多いのです。
人は往々にして、自己の潜在能力を充分に活かして生きることはせず、
表面を取り繕い、外界に向けた盾を造り、欠点や不道徳、不健康であること、あるいは失敗を覆い隠してしまいます。このような殻を作って自己を守るような生き方を続けていると、他により効果的な使い方ができるはずの良いエネルギーを、無駄に使い果たしてしまうことになります。
このような傾向によって創り出された緊張は、恐れやパラノイア、あるいは方向性の欠如となって現れます。その結果、健康を害したり、成功できなかったり、人生に不満を持ったりすることになりかねません。注意力が外界に集中されていては、愛や平和、他者とのつながり、あまねくいきわたる安心感、あるいは圧倒されるほどのエクスタシー等の感覚を味わうことは容易ではありません。そのような体験を得るには、まず内なる宇宙に帰還しなければならないのです。
現在の自己と未だ現れない自己との違いから来る問題を解消するために、
さまざまなテクニックが開発されてきましたが、真の調和的変容(harmonic transformation)に匹敵するほどの持続的効果を挙げることができるものはありません。リラクゼーションや瞑想、ストレス解消テクニックも効果はありますが、療法としての効果を考えるなら、より信頼にたる確実な変化を起こさなければならないです。